ホテル業界でも近頃は「スモール・ラグジュアリーホテル」と呼ばれる小型高級ホテルに人気が移っています。
部屋数はせいぜい200から300まで。
こうしたホテルは個性を鮮明に打ち出して品質志向の強い客層をしっかりと掴んでいるのです。
たとえばシカゴの「パーク・ハイアット」、ここは部屋数が255。
小規模で落ち着いた雰囲気を売り物にしています。
部屋に通されてしばらくすると、
「我々のこの小さなホテルによくぞいらっしゃいました。お客様を幸せにして差し上げるまで、私共は満足致しません。その気持ちの一端に、これは支配人からの贈りものです」
こういって部屋に果物が届けられるのです。
フロント・ロビーはこぢんまりとして人の出入りも少なく、案内係りはオペラの切符の手配から飛行機の予約まで、宿泊客の要望を何でも聞き入れてくれます。
部屋はオールスーツ・ホテルと称する全室応接問付きで、鏡はアーチ型の花輪で覆われ、ビジネス客は豪華な家具、調度品に囲まれた自室でミーティングをしたり、あるいは書類に目を通したり、役員室同様に利用できます。
また、各部屋に設けられたミニ・バーには可愛らしい小瓶に入った48銘柄のスコッチが並び、テレビ・キャビネットには映画・音楽のビデオカセットが、ちょっとした小型ライブラリi並みの規模で揃えてあるのです。
1階のレストラン「ラ・ツアー」、ここのメイン・ディッシュであるフィッシャーマン料理は同ホテルの特製で、ラビオーリ(こま切れ肉をねり粉の薄皮に詰めたもの)とホタテ貝、それに舌触りのいいキジ肉をクリームソースにひたしたスープが特徴です(当時)。
宿泊客はこの料理を楽しみにやってくるのです。
ホテルから空港までは金色のロールスロイスで送迎のサービスもあります。
こうしたかゆいところに手が届く濃密なサービスが、厚い固定ファンをしっかりと捉え、他のホテルの追随を許さない年輪を築きあげているのです。